頭の形が発達に影響するってホント?

頭の形

乳幼児の頭の変形に関して不安を煽る情報が多く、重度の変形は大人になっても治らないとか、頭痛を起こしやすくなるとか、運動・知能の発達に影響が出るとか、少しググるだけでそういった情報が出てきます。

おこもり家が診てもらった脳神経外科では、「発達に影響するのは病的な頭蓋変形の場合で、頭位性斜頭(いわゆる”向きグセ”で頭が変形した場合)が発達遅れを引き起こすことはない」と説明を受けています。

初めての脳神経外科
娘のモモカ氏はかなり向き癖が強く、寝かせても抱っこしても必ず右を向いてしまいます。生まれてすぐの頃はキレイな頭の形をしていたのですが、強烈な向き癖のせいか生後2ヶ月頃から後頭部(右側)が平らになってしまいました。

専門医による説明なのでそれで十分なのですが、納得感のために自分でも調べたりしたので内容をメモしておきます。

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頭の変形は運動・知能発達に影響するのか

ヘルメット治療を提供するアイメットのコラムには以下の通り記載があります。

実は、最近まで寝ぐせや向きぐせによる頭のゆがみは健康上の問題はないと考えられていたのです。頭のゆがみ自体も生後6カ月頃の自然に首がすわる時期になれば、必然的に今までよりも頭が床についている時間が短くなることから、自然にゆがみが改善するとの見方が強くありました。そのため、頭のゆがみへの積極的な治療は行われていませんでした。

しかし最近では寝ぐせ、向きぐせによる頭のゆがみと赤ちゃんのその後の神経発達、運動発達の遅れについて指摘する研究報告が海外から出ています。

出典:単なるゆがみではない?健康に影響のある赤ちゃんの頭のゆがみと対処法は

 

また、ジャパン・メディカル・カンパニー(アイメットの開発会社)が運用しているメディアでも以下の通り記述があります。

頭蓋変形は見た目の問題だけではなく、お子さまの運動能力や知能の発達にも影響が出る可能性があります。

実際に海外では、病気が原因ではない頭蓋変形の場合でも、運動能力や知能の発達に遅れを伴う報告がされています。

出典:赤ちゃんの頭のかたち相談室

 

ヘルメット治療を提供している企業のHPにこのように記述されると、「向き癖による頭の変形が発達遅延の原因であって、ヘルメット治療をすると治る」と捉えてしまいますよね。しかしエビデンスとして掲載されている論文を見ると以下の通り記述があります。

  • 引用

DP seems to be associated with early neurodevelopmental disadvantage, which is most evident in motor functions. After follow-up evaluations of this cohort at 18 and 36 months, we will assess the stability of this finding. These data do not necessarily imply that DP causes neurodevelopmental delay; they indicate only that DP is a marker of elevated risk for delays. Pediatricians should monitor closely the development of infants with this condition.

  • 翻訳

DP(変形性斜頭症)は運動機能初期の神経発達障害と関連しているようだ。観察対象の18ヶ月と36ヶ月のフォローアップ評価で、この調査の安定性を評価する。これらのデータはDPが神経発達の遅れを引き起こすことを必ずしも意味しない。これらのデータはDPが神経発達の遅れのマーカーになることを示しただけである。小児科はDPを伴う乳児の発達を注意深くモニターすべきである。

出典:Case-Control Study of Neurodevelopment in Deformational Plagiocephaly.

 

また、別の論文にも以下の記述があります。

  • 引用

School-aged children with moderate to severe PPB scored lower than controls on cognitive and academic measures; associations were negligible among children with mild PPB. The findings do not necessarily imply that these associations are causal; rather, PPB may serve as a marker of developmental risk. Our findings suggest a role for assessing PPB severity in clinical practice: providing developmental assessment and intervention for infants with more severe deformation and reassurance and anticipatory guidance for patients with mild deformation.

  • 翻訳

中等度から重度のPPB (頭位性斜頭)の学齢期の子供は、認知的、学問的尺度の対照よりもスコアが低かった。軽度のPPBの子供の間での関連はごくわずかだった。この調査結果は、これらの関連が因果関係にあることを必ずしも意味するものではない。むしろ、PPBは発達リスクのマーカーとして役立つかもしれない。私たちの調査結果は、臨床診療におけるPPBの重症度を評価する役割を示唆している。より重度の変形と安心感のある乳児に発達評価と介入を提供し、軽度の変形の患者に予測ガイダンスを提供する。

出典:Cognitive Outcomes and Positional Plagiocephaly

 

さらに別の論文では斜頭症と発達遅れに関する複数の研究論文19本をレビューしています。サマリーしか公開されておらず全文を見ることはできませんでしたが、以下の通り記載があります。

  • 引用

This review suggests plagiocephaly is a marker of elevated risk of developmental delays. Clinicians should closely monitor infants with plagiocephaly for this. Prompt referral to early intervention services such as physiotherapy may ameliorate motor delays and identify infants with longer term developmental needs.

  • 翻訳

このレビューは、斜頭症が発達遅延のリスク上昇のマーカーであることを示唆する。臨床医は、これについて斜頭症の乳児を注意深く監視する必要がある。理学療法などの早期介入サービスへの迅速な紹介は、運動の遅れを改善し、より長期的な発達上のニーズを持つ乳児を特定する可能性がある。

出典:Plagiocephaly and Developmental Delay

 

あくまで素人が気になる箇所だけ斜め読みした程度の理解ですが、3つの論文とも「斜頭症が発達遅れの目印になるかもしれないので小児科医は子供をよく観察してね」と言っているだけで頭蓋変形の結果として発達遅延が起きるとは言っていないように読めます。また、仮にそういった影響があったとしてヘルメット治療で治るとは論文には書かれていません。

論文自体が比較的新しいものなのでこれからより研究が進むのかもしれませんが、現時点では「斜頭により発達が遅れるのではなく、発達が遅れた結果として斜頭になる可能性が示唆されているだけ」というのが私の理解です。

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それでもヘルメット治療を始めた理由

歯科矯正のように見た目を整えるもの、というのがヘルメット治療に対するおこもり家の理解なのですが、微妙に親の不安につけ込んでヘルメット治療を推しているように感じてしまい、最初はあまり乗り気ではなかったというのが正直なところです。

とは言え、寝る時や抱っこする時にちゃんと気を付けてあげていればこうはならなかったという負い目や、無理に体制を直すことによるSIDSのリスクなどなどを加味して割り切ったというのが理由です。

まぁ、最近では歯並びやかみ合わせの悪さが頭痛・腰痛・肩こり・めまいなどの原因になるとも言われていますし、実際、頭の大きさが左右で違えば肩こりくらいは起こしそうな気もしますよね。肩こりの結果として頭痛が起きたりするかもしれません。歯科矯正と同じく治してあげられるなら治してあげるか、という感じです。

まとめ

上の3つの論文は、斜頭だから発達が遅れるのではなく、斜頭が発達遅れの目印になるかもしれないと指摘しているので、それはそれで大丈夫なのか?という疑問は残ります。

そもそもまだ研究レベルで可能性が示唆されただけなので注意して見守るくらいしか出来ることがないのですが、娘氏に関しては成長曲線のど真ん中付近にて、だいたい育児本通りに育っているので特に心配はしていません。毎日すこぶる元気です。それにもし今後発達に多少凸凹が出たとしても親としてやることは変わらず、とびきり可愛がって成長をサポートしていくのみです。

見た目が良くなるに越したことはないと割り切って始めたヘルメット治療ですが、着用から2週間ほどで目に見えて頭の形がキレイになってきてヘルメット効果すげーとなっているところなので、今後の経過を楽しみに見守りたいと思います。

妻のひとこと

妻

装着を始めて数日が経ちました。
最初のフィッティングで少しぐずったくらいで以降全く嫌がらず、肌トラブルも今のところほぼないので安心しています。そして思ってた以上にヘルメット姿が可愛い♡

病気ではないとはいえ、将来メガネかけたら傾いてるとか、肩凝りや頭痛がでるとか、髪の毛結ぶとなんか曲がってる…みたいなのはやっぱり可哀想だし、歯と違って大人になってからは矯正できないので、後悔しないためにも決断して良かったなと思ってます。そして目に見えて成果が現れてるのが嬉しい!

今後もあまり気負わずにゆるっと進められれば良いなと思ってます。

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